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エボシガイ属の一種 Lepas sp.
産地 : 1、南知多町内海 2、南知多町小佐農地用造成地
 丸みを帯びた三角形の殻板からエボシガイ科のエボシガイ属の楯板と判断される。エボシガイは肉茎部が流木などに付着し浮遊生活をする。黒い炭質物に付着している標本(エボシガイ2)は当時の生活様式を物語っていて、流木に付着したエボシガイやコケムシ・カキなどの化石が見られる。


Megaceradocus cf. gigas (ヨコエビ科)
産地 : 南知多町岩屋農地造成地
 短脚目ヨコエビ亜目に属する種の多くは体長10o以下だが、この化石は体長40〜50oに達する大型種である。現生種で1979年に記載された新属新種のMegaceradocus gigasによく似ていて、この種に比較されている。この現生種は日本海南部の水深250mで得られたガンギエイの1種アラスカカスベの胃中より発見され、その後銚子沖のキチジの胃中から見つかっているだけで、極めてまれな種である。師崎層群からはキチジの仲間の化石も見つかっており、現生の捕食者と被食者がともに化石として発見されたことは、当時からの関係を示唆しているようである。


・ シオムシ属の1種 Tecticeps? sp. (コツブムシ科)
産地 : 南知多町豊浜


・ チタスナモグリ  Callianassa titaensis (スナモグリ科)
産地 : 南知多町小佐
 師崎層群の甲殻類化石中、最も多産する種類で、多くは第一胸脚が見つかる。第一胸脚は著しく左右不相称で、ノジュールに大きい方の第一胸脚が含まれることが多い。日間賀累層・豊浜累層・山海累層から広く見つかる。まれに胸部・腹部の保存されている化石も見つかる。この標本もほぼ全体が保存されている。


・ チュウコシオリエビの1種 Munida sp. (コシオリエビ科)
産地 : 1・3、南知多町岩屋 2、南知多町山海
 コシオリエビ科の属する十脚類異尾亜目は、タラバガニやヤドカリを含む甲殻類である。現生のチュウコシオリエビの仲間は水深50m〜数100メートルの深い海に生息している。甲面に複数の横溝が見られる。他の中新世の地層からも見つかる。

・ ミズノテングエビ Mizunotengus makiguchimai (コシオリエビ科 新属新種)
産地 : 1・2、南知多町岩屋
 シンカイコシオリエビはチュウコシオリエビに比べて生息深度が深く、深海の代表的な底生生物である。甲面は微細な顆粒でおおわれている。標本2には体長の5倍に達するはさみ脚が保存されている。


・ コウナガカムリの1種 Dicranodromia sp. (コウナガカムリ科)
産地 : 南知多町岩屋
 カニ類(短尾亜目)中でもっとも原始的な種で、円筒状の甲羅を持つ。現生の種も極めて稀な種で、発見個体も少ない。腹部が甲の中に納まらない。


・ フジオカツノクリガニ Trachycarcianus huziokai (クリガニ科)
産地 : 南知多町豊浜
 標本は額角と左半分が保存されている。額は3歯でほぼ同じ大きさ。フジオカツノクリガニは伊勢湾を隔てた三重県安芸郡美里村の中新統一志層群に多産する。ツノクリガニ属(Trachycarcianus)の現生種は14種で、日本近海からはサガミノクリガニ、ツノクリガニ、ケブカツノクリガニが知られている。


・ ムツアシガニの1種 Hexapinus sp. (ムツアシガニ科)
産地 : 南知多町小佐
 甲は横長の四角形で、甲面は浅く広い溝で広域に分けられていたらしい。また、現生のムツアシガニ類に見られるような針穴状のくぼみが多数ある。歩脚は比較的太く、短い。甲幅約10oの小型種であるが、成体と思われる。