これはタイムマシンのいらない時間旅行記である。すべては、北米オクラホマの荒野で、ディメトロドンの歯の化石を拾ったことから始まった。いかめしい風貌をしているが、ディメトロドンは恐竜じゃない。れっきとした、われらがほ乳類の祖先である。

 彼らがどのようにほ乳類に進化していったのか? ルーツを追って、私は南アフリカ共和国に飛んだ。

 めざす時代はペルム紀後期〜三畳紀前期。そこに広がる大カルー盆地は、彼らよりほ乳類に近づいた獣弓類(“獣の特徴をもつもの”の意味)と呼ばれるご先祖様たちの化石の宝庫である。恐竜時代前、超大陸パンゲアで天下をとっていたのは、われらがほ乳類の祖先たちだった。

 念のために付けくわえておくならば、これはSF小説(フィクション)ではない。グレートカルー発掘調査への同行取材をつづったサイエンス・ドキュメンタリーである。

写真満載のA5版/95ページ。定価1000円+税。誠文堂新光社の販売部(03-5800-5780)や、最寄りの書店でお求めになることもできるが、amazonなどでネット販売もしている。くわしくは、ウェブで!
                     長尾衣里子

※東海化石研究会では、取り扱っておりませんのでご注意ください。

『ルーツを追って――恐竜時代前に天下をとったほ乳類の祖先たち

     長尾衣里子著(誠文堂新光社)/A595P1000円+税